下弦の月のお手紙

おわらせる体力

 物事は、始めるよりもおわらせる方が体力をつかう。そんな氣がしています。

 先週はセラピーの仕事を1週間休み、舞台の準備を色々しておりました。

 不思議の仕事に入る直前まで、やっていたお仕事です。あるときに持病が悪化し、このお仕事は無期限活動休止していたのですが、大事な友人たちが引退することとなり、その興行のMC(司会進行)を依頼されました。

 出演したのはバーレスクショーです。バーレスクショーにおける司会は、舞台進行の管理と密接に関係しており、小道具の配置、踊り子の着替え、お客さまの飲食の進行状況、入場状況などを観察しながら行います。よって、司会のセリフは原則即興です。紹介文や必要事項などはもちろん読んだ上で、何かが起きていたら、その空間のショーの空気を準備OKになるまで維持する、というのが主な仕事となります。ただ暗記しているだけだと、舞台裏の不測の事態に対応できない。「Show must go on」を遵守するお仕事となります。

 そんなわけで、氣力と体力がないとできません。一瞬のアクシデントに対して、正常な判断ができないと、ショーがぶち壊しとなるからです。そしてもう1つ、氣力と体力を意外と必要とする部分があります。

 それは、お支度。

 とにかく煌びやかに光らせまくる、用がなくとも光らせる、というジャンルです。わたしは数年このお仕事を離れていたこともあり、現在光っている衣装がほぼありませんでした。っていうか舞台衣装がほぼ無いし。(通常のMC用の衣装は、リアルクローズ=一般的なスーツであることがほとんどです。)なので、このショーをお引き受けするときに「アレをやるのか…」という緊張感が頭をよぎりました。

 いわゆる「石打ち」です。何でもかんでも、ラインストーンを打ちまくります。

 貼りまくりました。とりあえず。

 今回衣装を自分で用意しているので、加工も自分で行います。靴とかヘッドドレスとか洋服とか手袋とか、とにかく全部全部貼りまくる。もはや瞑想です。雑念の入る余地なし。(ボンドが乾く時間との戦いだから 笑)瞑想が苦手な人は、ラインストーンを身近なものに貼りまくるのどうでしょうか。

左がダニエル・ジュゲムさん。右がゴトウイズミさんです。

 お二人の最後のショーは、素晴らしかったです!

 最後の最後まで、新作を持ってくるという姿勢が素晴らしかった!超濃密な演目でした。前日の最後の稽古、わたしは12時ごろ帰ってしまいましたが、お二人は3時、4時まで追求していたそうです。

 そんな裏話を聞いて、わたしはやっぱり「おわらせるのも、体力がいるなぁ」と感じました。

 今回、お二人の引退と同時に、数年間「無期限活動休止」のままにしておりましたバーレスク業を、正式に引退しました。当時、発症してから体力ゼロになるまで本当に一瞬。発症から1ヶ月後の自分の「芸歴20周年興行」で踊る体力もなく、ゴトウイズミさんやダニエル・ジュゲムさんなど、出演者の方が踊ってくださるのを客席で見る、という前代未聞の状況になりました。その後引き継ぎや代役など、多くの方にお願いし、サポートを頂き、なんとか引き継ごうと尽力したのですが、健康なときに企画したものを、体力がないときに行うのは、かなり無理でした。周囲の支えがあって諸々成し遂げましたが、引退についてきちんと言及する暇もなく病床に。

 時空的に「あたらしいシャーマン」になることはその3年前から告げられていましたが、不思議を一切信じていなかったわたしには、本当に受け入れ難いことでした。聞こえ出した声を無視し、そのためにも仕事を入れまくっていました。(今にして思うと、氣付きのために症状がどんどん悪化していったのではないかと思います。受け入れたら快方に向かいました)

 今回、広島ヲルガン座の楽屋で、お二人の稽古を見ながら「お二人の引退の呼び込みをするなんてなぁ。自分も当時は、一生踊りを続けると思っていたなぁ」と思い出していました。

 しかし、そのとき1つの扉が閉じたから、あたらしい扉が開き、今こうしてみなさまとセッションやブログを通じて、お目にかかっているという不思議。

 世の中は、不思議でできていますね。

 そして今回。素晴らしいお二人を送り出し、同時にわたしも、今度こそしっかりと、1つの扉を閉め、鍵をかけました。何かが新たに動く予感を、ステージを降りたときにキャッチしました。

 おわらせる体力があると感じたときに、終わらせる、ということのタイミングの精妙を感じています。さあ、次は何がくるのでしょうか?

 みなさまと、さらに不思議な時間を共有する予感がしています♪どうぞよろしくお願いします!

★POPよりひとこと★

 おわらせるのって、めちゃくちゃ体力いります。

 だから、何かをおわらせると決めたら、おわらせるための時間をまずはしっかり取ると良いのかもしれません。氣力と体力的なむずかしさを感じる時は、まずそれが回復することを最優先しましょう。氣力と体力が満ちる時、正常な判断力を行使することができます。

 はじめるもおわらせるも、まずは自分に優しい時間を創ることからですネ!

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